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DATE: CATEGORY:読書
米澤穂信著  読了
なんだ、最近良いものばっかり読んでるが、その、一言いいたい。
・・・・・・また傑作か。インフレーインフレー。
内容をキャッチコピーっぽく要約すると、こんな感じ↓


流れるような筆致で描き出された、
自分の存在価値を再確認するための、青春ストーリー。


・・・・・・別に、嘘は言ってない。


米澤穂信作品は割と好きで、古典部シリーズからさよなら妖精、犬はどこだにトロピカルパフェ事件まで読んでいるけれど、
この作品は今までの作品の中でもいい感じに極まってる。
青春、というか時間と選択肢に関する諸々の妄念を凝縮して打ち出してみたような作品。
結末は予定調和だけれど、構成と筆致がスッキリしていて完成度が高い。みんな結末結末言うけれど、過程の方が見事だと思うよ。
というか、トロピカルパフェでも思ったけど古典部の頃と比較して、構成力とか完成度が格段に向上している。
というか、初期の古典部の方が異質なのかな、ひょっとして。


どうもこの話を残酷だとか人道にもとるだとか酷い話だとか言う評価があるようだけれど、そしてそれには同意するが、
この話自体はとりわけ惨いわけではない。わりと当たり前の事を述べているだけである。
問題は読み手。
そりゃ気が滅入ってる時にこんなの読めばOTZ 鬱だ死のう、みたいなことになる。その上、手法が綺麗だから、上手に後押ししてくれる。  


でも多分この話の唯一の良心は、主人公が不幸なことだ。
彼は実際不幸な生い立ちと経験を持っている。
故に、この本を読んで悲惨だ、と呟ける人にとってはなんら問題になりえない。なぜならそれはその人にとって「遠い事」だからだ。


救いが無いとしたら、この本の読者に悲惨だ、不幸だ、と思えずに共感したり素直に受け入れてしまえる人がいた場合。
つまり、実際に不幸と定義可能な読者が居た場合。

或いは、この小説の主人公がこんなに不幸でなく、もっと卑近な不幸さと低俗な絶望を見せつけた場合。

もしそうなったとしたら、その瞬間この話は多分、芸術にまで昇華される。
もしこの本が他人の背中を押すようなことになったら、多分ならないと思うけど、それは賞賛すべきではないが凄い事だと思う。
まあ、指根はこの本嫌いですが。
でも買います。借りた本だけど、書店で買ってきます。書棚に置いとくだけの価値があると思う。いや本気で。
だってほら、ファンだし傑作だったし。 追記。ネタバレ。



主人公を裁くのが恋人であるのは、主人公がボトルネックであることを証明するのが正に恋人そのものであるから。


主人公が直視させられる「上手くいかなかった事」は全て彼の無力によるものだが、唯一恋人の死についてだけは「彼の所為」であり「彼の存在さえ無ければ」どうなったか分からない事なのだ。
つまり、彼は存在するべきではなかったと証明するのが恋人の存在であり、彼によってもたらされた致命的な被害が彼女なわけだ。

最後にサキが訴えるのはボトルネックであることからの脱却と挽回である。
正論だし、起点と環境と持つものが同じであった彼女が言うのだから説得力もそれなりにはある。
恋人の呪いも、主人公が変わる為のものであるとする事もできるだろう。

だが失ったものというのは取り戻せないし、恋人の本当の願いがそうであったとしても、当人にしてみれば「出来ないものは出来ない」のである。
ある意味、犯罪者に罪を償えと強要する、他者的な傲慢さがそこにある。
まあサキが気付かないのは兎も角、恋人からのはどう考えても呪いとか復讐とか断罪の類だろう、やはり。
償いもやり直しも、リスタートがゼロだから可能なのであって、通常の凡人はマイナス地点から立ち上がるのは無理だと思う。
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