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DATE: CATEGORY:Fate
それは、稲妻のような一撃だった。

降り注ぐ死の牙が猛犬なら、土壇場で割って入った爪は狂犬のそれ。初めから間に合うはずがない。死の棘がその心臓を刺し穿ち、衛宮士郎はその場で絶命した。

「――――は?」

っていや、ちょっとオマエ。
おーい、マスター。聞いてますかーあーあー、テステス。
・・・うわぉ。死んでるぜひゃっほーぃ!凄いね前代未聞だね、幾らなんでも召喚早々マスターが死に腐ったサーヴァントは後にも先にも俺一人だぜ断言できる、イェーイ!アイムオンリーワーン!!!ついてるぜマスター、なんといっても守られる必要すら既にないぜ!!

ええっと。
現状把握。死体がある。ここは土蔵。何でかしらないけど知識はある。で、すぐ其処で眼を爛々と光らせるこわーい槍使いさんは、
「貴様、何者だ?」
わあ、殺る気マンマンですよあの人。
「その気配、サーヴァントだな。まさかセイバーとも思えんが・・・・・・一番それっぽいのはアサシンか?」
「あー、そういうアンタはランサーさん?」
まあ、槍を持ってるからにはランサーか、それじゃなきゃライダーに決まってる。あのやたら見事な一撃からしてランサーだと思うのだが。
「そういうこった。で? オマエは何処のどんな英霊だ? ああ、別に答えたくなきゃ答えずともいいさ。どっちにしろ――」
あ、嫌な予感。
「この場で戦う事に、変わりはねぇ―――!!!」
やっぱりかよ!!


直線を描いて俺の心臓を狙いに来る一撃を咄嗟にタルウィを顕現させて弾く。身体を反転させながら牙剣を振りかぶり、熱の威を纏う一撃を青い騎士に打ち放つ。だがあっさりとかわされた俺の一撃を奴はあろう事か腕ごと掴んで投げ飛ばし、再度槍で追撃する。
浮いた身体に態勢を持て余すが、なんとか防御を―――!!
高音が響いてギリギリで防御成功。乾く牙たるもう一対、ザリチェを実体化、俺は二対の短剣を構えてランサーと相対した。
「ハ、よりにもよってまた二刀使いか。今日はつくづくこの手の連中と縁があるらしい」
どうもアイツ、俺以外の敵と戦った後らしい。何つー野郎だ、連戦でこの強さかい。いや、俺が弱いだけなんだけどね。
「で、さっきからなにも仕掛けてこねェが・・・。そんだけ弱いんだ。小手先の技で戦うタイプだろお前。いいからなんかやってみろ、そうじゃないと面白みがない」
舌なめずりせんばかりに言われても困ります。俺ほんとに何もできないからいやマジで。
「あー、ちょっとその要望には応えられないというか」
風を切って飛んできた点の一撃を必死に回避。というかこの人明らかに遊んでますよ、何この実力差。
「ああん? なんかあるだろ宝具とか。その双剣は飾りかよ?」
飾りです。とかいったら殺されるので止めておこう。一応D-、限定条件下で使えるというものではあるのだが、今は無理。
横薙ぎに振るわれた槍を飛び退ってかわす。片腕がざっくりと切り裂かれ、鮮血が噴き出る。翻って襲い掛かる瀑布が空間を串刺しにして、俺の顔の真横で髪を散らす。ああっ、俺の恋人のバンダナちゃんが!
「・・・・・・ち、喰えねぇヤツだな。気付いてやがるのか」
何かよくわからないコトを言っているが、そういえば何故かランサーは俺を殺しにこない。どうも妙な話だ。サーヴァントが交戦すれば、その場で確実に殺すのが定石。だというのに奴はこちらを殺すチャンスを千回は潰している。
「しょうがねぇな。とりあえず、無理矢理にでもその気になってもらうとするか」
瞬間。
俺は全力で土蔵の外に跳躍、全力を以って後退する。ヤバイ、何がヤバイって、あの魔力だ。
膨れ上がる重圧、この眼に視認できるほど濃密な魔力が真紅の槍の先端に収束されている。
例えるなら、限界まで引き絞ったスリング、あるいは脚に力を溜めた跳躍寸前の猛獣。
穂先を下方に構え、そのままこちらへと駆け出し―――、
次の瞬間、俺は相手に背を向けて、全力で逃げ出した。
「あ、待ちやがれテメェ――!!」
無理、死ぬ。あの相手に後ろを見せる愚かさは充分に理解しているつもりだが、どっちにしろ死ぬんなら逃げるだけ逃げて足掻いて死んだほうがまだマシだ―――!!
「刺し穿つ―――」
後方で。信じられないほど近くで、その声はした。
ふと見えた後ろ、肩越しのすぐ後ろに、一瞬にして間合いを詰めた青い槍兵がそこに―――!!!
「死棘の」
多分本能的な行動だった。脊髄反射とかそれ以前の霊感に従って、俺はタルウィで自分の片腕を切り落とした。
上手くいくかどうかは解らないが、博打を打つ価値はある。
―――偽り写し―――
槍が地を這う。その口からは真名が放たれようとされ、槍は獲物に飛び掛る承認の声はまだかと待ちかねて――。

――――示す万象―――!!!!
その真名を告げ終わるより一瞬早く、俺の宝具が発動した。

ランサーの、横薙ぎの一撃により生まれた、俺の腕の裂傷。
その傷痕にそっくりそのまま噛み合うように俺が加えた一撃によって切り落とされた俺の腕、という事象は、
原因をランサーの槍に起し、結果を切断で結んだ。
故に、俺の宝具【ヴェルグ・アヴェスタ】はその因果をそのまま押し返す―――!!!
「なっ―――!!」
驚愕の声はランサーのもの。当然だ。今まさに突き出そうとした片腕の感覚が、唐突に消失したのだから。
狂う狙いと、発動しそこなった宝具。驚愕にみちた瞬間を狙い、俺のタルウィがランサーの咽喉笛を切り裂こうと襲い掛かる!!
だが。あっさりと身を翻したランサーは片腕を抑えたままバックステップで下がった。
「成る程。道理で弱いはずだ。受けた傷を返す宝具、か。
そう易々と殺せる相手じゃないってことか」
ランサーは赤い槍を肩に担ぎ直して嘯いた。
しかし、なんだ。なんか勝手に誤解して勝手に納得してくれている。これはラッキーな展開だったり?
「しゃーねぇ、ここは撤退すっか。対処法がみつからねぇからな。相打ちはまだゴメンだしよ」
おお、なんか首が繋がった。
「じゃあな、っと。そういやお前、クラスは何だ? そんくらい教えとけよ」
塀の上に飛び上がった槍兵。確かに。そのくらいなら教えても構わないし、なんなら真名を教えたっていいくらいだ。
そうして俺は、名を告げた。無意味な名を。咎人の名を。

「アヴェンジャー。復讐のサーヴァントだよ」
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